7月20日(土)くもり 31℃

 5時に起きて布団カバーなどを洗い、その間に図書館へ本を返しに行く。洗濯が終わる時間ちょうどに戻ろうと、遠回りして帰る。夷川発電所のところを北へ曲がるルート。Sの家の隣にあるコインパーキングでは、猫が2匹、車の陰で話し込んでいる風情だった。思わず覗き込むと、びっくりしてこっちを見る。ばつの悪そうな顔。こちらも視線を感じて顔を上げると、新聞配達か何かのお兄さんがじっと私を見ている。私もばつが悪くなって、そそくさと帰路につく。

 帰宅後、洗濯物干し。7時か8時ごろには降り注ぐような蝉の声。でも暑くはない。こまごまとした準備をしたり、英語論文を読んだりしつつ、父と母が来るのを待つ。それまでどんなに楽しみにしていたとしても、どんなに指折り数えて待っていたとしても、帰省当日には帰るのだという実感がまるでない。

 12時前、父母来る。荷物を載せ、まず聖護院の和菓子屋Kに寄る。知る人ぞ知る店らしいということを伝えたら、母が行きたがったため。店主は和菓子屋っぽくないいかついおじさん。阪神優勝と書かれたTシャツを着ている。「稚児の袖」と大徳寺納豆のお菓子(やわらかめの大徳寺納豆に、和三盆か何かがまぶしてある)を買う。それから琵琶湖へ。北白川通りを北上し、近江舞子へと抜けていく道。13時半ごろ着。O館のおばさんにご挨拶し(岐阜の地酒差し上げる)、部屋に荷物を入れてからKさんのお店へ。焼きそば、キーマカレー、とんちゃん丼(といっても、載っているのは鶏肉)、枝豆を3人で分けて食べる。遅い昼食でお腹がふくれてしまったので散歩に出る。Kさんのお店から北に行き、レイクオーツカの前を通り、H苑の駐車場や会員制ホテルのある方までぐるりと回る。このあたりにはだんごむしがやたらと多い。部屋に戻って休憩し、「稚児の袖」を母と半分こして食べ、それからまた浜に出る。部屋の前にはくちなしとねむの木。母は『IT』を読んでいる。下の弟が大学でリメイク版の映画を観て、原作も2巻の途中まで読んだらしい。

 O館の元バーの前の椅子に座り、大学の講義や何やかやの話をしていると、母がうとうとし始める。そのうち、昼寝すると言って部屋に戻っていく。私と父はそのまま話をしている。琵琶湖大橋の方角から、花火打ち上げ船がゆっくりとやってくる。

 夕食は18時から。10分ほど前に母を呼びに行く。夕食はバーベキュー。琵琶湖の稚鮎が碧い味でおいしい。岐阜の鮎よりも苦みが鮮やかで強い。朝早かったので、食べているうちに眠くなる。赤ん坊みたいに。

 食べ終わってもまだ19時前。花火は19時45分からとのことだったので、花火打ち上げ船の正面であるKさんのお店へゆっくり向かう。道沿いの店はどこもすごい行列。すごい人出。座る椅子はもうない。3人で呆然と立ち尽くす。Kさんのところの椅子をお借りしようと一声かけようとするも、Kさんのお店にもすごい行列ができていて、声をかけることもままならない。結局、岩とベンチに分かれて腰掛ける。19時30分、15分早く花火が始まる。一発ずつ淡々と上がっていることに文句を言っていると、聞こえていたかのようにすさまじい連発。上がった後に全体が金色の花粉のようになる、大輪の花火が好きだ。湖面すれすれの噴水のようなものもよかった。しかし花火って、終わりだと思ってもなかなか終わらないな。終わるときは派手な連発のあと。決まってぶっつりと、無言で終わる。

 群衆が動き始め、真っ暗な中を私たちも部屋へと向かう。前を歩いている人が持っているライトの灯りを頼りながら。琵琶湖の向こう岸でも花火をやっているのが小さく見える。

 ビールを飲みながら波と戯れる父を置いて部屋に戻り、『万引き家族』を途切れ途切れに、でも最後まで観る。23時半ごろ就寝。